里山の杉林はやがて無くなるでしょう。杉が伐採された山の斜面には太陽の光をいっぱいに浴びて広葉樹の自然林が再生します。自然林が回復した後にその一部を利用させてもらうステップがあります。
この利用を今までのように経済コストのみを考えた方法で行うと、杉の植林を始めていた時代に戻ってしまいます。自然を破壊せずしかも採算のとれる形で経済利用する方法は無いのでしょうか。
西山と呼ばれる長野市と白馬村に挟まれた地域では、里山の自然林の中で炭を焼く人たちがいます。自然林を利用するには許される限度があります。
経済コストを考え大規模に利用できるほど里山の自然は豊富ではありません。しかし利用限度の上限を押さえつつ、自然林の回復を待って経済利用を考えてゆくには、山に密着した炭焼きが最も将来性のある事業であると考えます。
松澤工務店は西山でゆっくりと炭を焼く個人から炭を買っています。松澤工務店が必要な炭は備長炭のような立派な炭でなくとも十分なのです。
備長炭とはウバメガシという大変貴重な木を原料としています。国内では高知県や和歌山県の一部でしか生産していません。国内の備長炭のほとんどは中国の備長炭です。中国では過剰な伐採でウバメガシの森が減少し、平成15年8月で輸出中止に追い込まれました。自然の回復と経済コストのバランスがとれていないのです。
里山で作られる炭は、備長炭のような希少種を原料とする炭ではなく、自然に回復する広葉樹林から作り出されます。
住宅資材として利用される炭は燃料としての炭とは性格が違います。住宅の炭は、水や空気の浄化作用、除湿や消臭の効果が期待されます。
松澤工務店がお勧めする通気断熱WB工法では、屋外の空気を床下に取込み、その後室内に取り込みます。
里山から松澤工務店が買い入れた炭は床下に敷き詰められ、外部から入り室内に取り込まれる空気を浄化したり、湿気を調整したりすり役割を果たします。
高齢者の多くなった村の田畑はやがて自然に戻ってゆくでしょう。自然が回復することは決して村が荒廃することではないと思います。
自然にダメージを与えない上限が高くなった考えれば良いのではないでしょうか。「許される範囲内で自然を利用する」その利用の節度が大切ではないでしょうか。
いま許される範囲内の利用は企業が採算ベースで行う開発ではありません。個人の採算ベースで行える利用の範囲内です。この範囲は自然の回復とともにやがて拡大されてゆくでしょう。松澤工務店は里山の未来を見据え、今できる範囲でその芽を育ててゆきます。
荒廃した杉山を減少させ、その後に再生する自然林をダメージを与えない程度に利用する。松澤工務店は住宅の分野で信州エコ宣言をいたします。
